大会長挨拶

郷間厳 第16回日本禁煙学会学術総会は、2022年10月29日(土)・30 日(日)の日程で開催する運びとなりました。大阪の禁煙推進に関わる皆様のおかげで日本禁煙学会学術総会を開催できるようになり、その主宰させていただくことを大変光栄に存じます。
 2022年も新型コロナウイルス感染症の流行収束の見通しは厳しいために現地開催は難しいと判断し、完全オンライン開催として準備を進めているところです。
 学会テーマは、「命を守るための禁煙へ」とし、副題として「受動喫煙ゼロ、タバコ依存のない、FCTC実現の日本へ」としました。受動喫煙防止の条例などでの取り組みにより大阪府ではタバコの煙のない店舗が増加してきましたが、一方では喫煙が可能な店舗も残り、公的な施設でも除外される規定が残っているなど受動喫煙をゼロとするには至っておりません。受動喫煙の視点からは、女性や小児の受動喫煙防止の遅れや、妊産婦の禁煙推進の実効性の不足が心配されるところがあります。社会の制度としての禁煙への取り組みは、本来たばこ規制枠組み条約(FCTC)に基づいてさらに推進されるべきものですが、我が国においては、WHOでも低評価の取り組みに留まっています。一方で、SDGsの目標と正反対の活動をするタバコ産業がSDGs を推進しているかのように扱われたり健康に取り組んでいる企業と認定されたりするなどタバコに関する認識と取り組みの我が国の問題点もここで明らかにしておくべきタイミングであろうと考えます。
 折しも、2025年に大阪で開催予定の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」となっています。新型コロナウイルス感染症のパンデミックで明らかになったことの一つは、がんや心臓・脳血管疾患などの非感染性疾患を普段から予防しあるいは良好に管理しておくことの重要性でした。テーマに命を含めた理由は、タバコを無くすことにより全ての人の命を守りたいという気持ちにあります。喫煙関連疾患の発症および悪化の予防にとって禁煙が必須であることを強調し禁煙推進するデザインを描き出すことを本学会では目指したいと考えております。
 現在、プログラムは検討中ですが、現地開催以上にお互いに学び交流ができるプログラムで実施したいと考えております。またオンラインでの懇親会も計画しております。
 ぜひ皆様の積極的なご参加をお待ち申し上げます。

第16回日本禁煙学会学術総会 大会長
堺市立総合医療センター 呼吸器疾患センター長・呼吸器内科部長
森ノ宮医療大学臨床教授
郷間 厳