会長挨拶 -GREETING-

ごあいさつ

第11回日本禁煙学会学術総会 大会長 高橋正行 第11回日本禁煙学会学術総会(京滋総会)を11月4日(土)5日(日)の2日間に京都テルサで開催させていただくことになりました。学会のテーマは“禁煙で伸ばそう健康寿命”です。日本禁煙学会が設立されて11年になりますが、この間にタバコの有害性への認識が広がり、喫煙率は男性が45.8%から29.7%に、女性が13.8から9.7%に減少しました。健康水準を示す平均寿命は男性79.55歳、女性86.3歳と世界のトップを走っていますが「健康寿命」を伸ばすことが健康福祉領域での新しい課題となっています。
 健康寿命は男性が70.42歳で女性が73.62歳であり、平均寿命との差異が要介護・要医療の不健康な時期となります。健康寿命を延ばすための方策として、運動・食事・禁煙の3つの柱が立っています。疾病対策としては、ガン・動脈硬化性疾患(脳卒中・心臓病)・糖尿病・COPDの4つです。これらのNCD(noncommunicable disease:非感染性疾患)をAPACT(幕張)でDouglas Betcherの講演から学び、熊本総会ではNCDがテーマとして取り上げられました。
 健康寿命を延ばすために禁煙は重要です。多くの病気の最大原因であるタバコ対策のメリットはタバコフリーの環境により疾病の原因を根本的に除去できることです。今回は専門領域的には循環器疾患を主体としています。滋賀医科大学のアジア疫学センターの上島弘嗣教授にはタバコの有害性に関する多くのエビデンスを示して頂ける予定です。また、循環器疾患へのチーム医療の取り組みとして心臓リハビリや心不全チームが健康寿命を延ばす工夫をしています。昨年12月には日本脳卒中学会と日本循環器学会が合同で、健康長寿を達成するためにストップCVD(脳心血管病)のプロジェクト「脳卒中と循環器病克服5カ年計画」を作成しました。また、職域・地域での健康寿命を延ばす取り組みも多くなされています。
 禁煙学会の特徴は会員の職業の多様性であり、これは本学会のストロングポイントだと思います。嫌煙権運動を始められた渡辺文学さん、禁煙教育の大御所平間先生、タバコ裁判で活躍される弁護士により「スモークハラスメント」という言葉も知られるようになりました。小学校・中学校・高校・大学・専門学校などで防煙教育に携わる多くの会員、医療現場でタバコ病と戦う医療職には医師・薬剤師・看護師・理学療法士・歯科医師・医療事務など多彩です。
 2016年には「たばこ白書」が改訂され、毎年受動喫煙で15,000人が死亡しているというショッキングな数字が出されました。昨年9月には厚生労働省の受動喫煙防止強化対策が提案され、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて世界標準の受動喫煙対策が策定されようとしています。学会前日にはタバコのないスポーツをテーマに市民公開講座を企画しました。
紅葉には少し早い時期ですが、秋の関西の観光や味覚を楽しむためにもぜひ学会にご参加下さい。

平成29年1月吉日